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バイクメーカーが本気で挑んだ電動モビリティ:デイトナの9年間にわたる製品展開史

バイク用カスタムパーツメーカーとして知られるデイトナが電動モビリティ分野に参入してから、約9年が経ちます。同社は独自の視点から電動アシスト自転車や電動キックボードを展開し、従来のモビリティとは一線を画すデザインと性能で注目を集めてきました。今回は、デイトナが手がける電動モビリティブランド「Daytona Mobility」の製品リリースヒストリーを振り返ります。

電動モビリティ参入の原点「DE01」(2015年)

デイトナはもともと、バイク(エンジン付き)のカスタムパーツを開発・販売するメーカーです。そんなデイトナ社内で“自転車好き”が集まって企画されたのが、2015年に誕生した初の電動アシスト自転車「DE01」でした。

DE01は、電動アシスト自転車の常識を覆すデザインが最大の特徴です。モーターをリアホイールの軸(ハブ)と一体化させ、バッテリーをレザーケースに収めることで、電動アシスト自転車とは思えない洗練されたルックスを実現。20インチの折りたたみ式ミニベロで、独特の扁平フレーム形状が剛性を確保しています。マイクロシフト製の7段変速を採用し、重量は16.8kg、航続距離は約50kmという基本仕様で市場に登場しました。

性能向上モデル「DE01S」(2016年)

「DE01」の基本構造はそのままに、性能を向上させたのが2016年に登場した「DE01S」です。ペダルの軸となるクランクとホイールに高効率なパーツを採用し、マイクロシフト製の10段変速を搭載。初代DE01から約1年後の進化モデルとして記録されています。

DE01Sの最大のポイントは軽量化で、車体重量は16.1kgを実現しました。これにより、より軽快でスムーズな走行が可能に。10段変速の採用は、細やかなギア選択を可能にし、走行性能を大幅に向上させました。


フラッグシップ「DE01X」(2017年)

2017年には、DE01シリーズの最上位モデルとして「DE01X」が加わりました。DE01をベースに「走ること」を強く意識し、外装10速変速、クランク、油圧ディスクブレーキなど、ワンランク上のコンポーネントがチョイスされています。

特に注目すべきは、大幅に制動力が強化された油圧式ディスクブレーキの採用です。雨でリムが濡れても制動力が変わらないというメリットがあります。また、ホイールには「451」規格(通称「WO」)のものを装着。DE01シリーズは20インチタイヤですが、この規格は20インチカテゴリの中でも外径が大きく、速度維持に優れた仕様となっています。


クロスバイク「DE02」(2019年)

デイトナは自社製モデルとしては初となるクロスバイクタイプ「DE02」(2019年1月下旬発売)で、新たな領域に挑戦しました。DE02は、ロードバイクなどと同じ700Cの大径ホイールを装備した初のクロスバイクタイプとして登場。

DE02は電動アシスト自転車のメリットを存分に活用できる設計とされ、DE02と後述のDE03は15万円弱(税別)という価格設定で、初めてのe-Bikeとしても手に入れやすいポジションを狙っています。26インチホイールと9段変速を採用し、より本格的なスポーツライドに対応できるようになりました。


ミニベロ新展開「DE03」(2018年)

DE02と同時期、2018年12月中旬には折りたたみ機能を搭載しない小径タイプ「DE03」が登場しました。DE01シリーズで培ったノウハウを活かしつつ、折りたたみ機能を省くことで、よりシンプルな構造とコストダウンを実現。DE01Xと同じ451サイズのホイールに機械式ディスクブレーキ、外装9速、そして走行安定性の高いダイヤモンドフレームを採用し、普段使いからちょっとしたツーリングまで楽しめるモデルとして設計されました。


アウトドアスタイル「DE04」(2023年)

2023年10月4日のプレスリリースで発表されたのが、新たなカテゴリーの製品「DE04」です。トラディショナルなミキストフレームを思わせるサイドビューに、3インチ幅の極太タイヤを組み合わせた流行りのアウトドアスタイル。DEシリーズ随一の走破性を実現しています。

「リンクルグリーン」「リンクルレッド」「リンクルイエロー」「リンクルサファリ」という特徴的なカラー展開も魅力。こだわりの“リンクル”塗装により、タフな印象を際立たせたモデルとして市場に投入されました。


電動キックボードへの展開「DK01」(2023年-2024年)

電動アシスト自転車で培った技術を活かし、デイトナは電動キックボード市場にも参入しました。2023年8月29日、「ちょっとそこまでのお出かけを、もっと楽しく、もっとおしゃれに!」をコンセプトに、ネオクラシカルな雰囲気とデイトナらしさを盛り込んだ 特定小型原付「DK01」を発表。

12インチタイヤ、左右分割型のステップボード、ボックス取付可能なキャリア、そして航続距離50km以上(※試験中)の大容量バッテリーが特徴です。16歳以上であれば免許不要で乗車可能な特定小型原動機付自転車として設計されました。2024年9月1日より先行受注を開始し、2024年10月から発売が開始されました。


デイトナの電動モビリティ戦略

約9年間のリリースヒストリーを振り返ると、デイトナの電動モビリティ戦略が明確に見えてきます。バイクメーカーならではの「見た目」と「走り」への徹底したこだわりを軸に、電動アシスト自転車ではバッテリー収納の工夫や自然なアシストフィールを、電動キックボードでは実用性とデザイン性の両立を追求してきました。

現在の製品ラインナップは、電動アシスト自転車5モデル(DE01、DE01X、DE02、DE03、DE04)と電動キックボード1モデル(DK01)となり、折りたたみ式からクロスバイク、アウトドアスタイルまで幅広いニーズに対応しています。今後もデイトナの電動モビリティ展開から目が離せませんね。

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